PPIは認知機能に影響ありますか?
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参考文献 Association of Proton Pump Inhibitors With Risk of Dementia:
A Pharmacoepidemiological Claims Data Analysis.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26882076
PMID:26882076
研究デザイン:前向きコホート研究
論文のPECO
P:ベースラインで認知症ではない75歳以上の73679名
E:定期的なPPIあり→2950名
C:PPI無し→70729名
O:認知症
※PPI:オメプラゾール、pantoprazole、ランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール
研究対象集団の代表性
→ドイツの健康保険データが用いられており問題無し
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?
→年齢、性別、ポリファーマシー(PPIを除いて5剤以上)、うつ病、脳卒中、虚血性心疾患、糖尿病
追跡期間
18か月
結果
【ベースライン】
年齢 E群:83.8±5.4歳 C群:83.0±5.6歳
【認知症】
・全体
HR=1.44 (95%CI:1.36~1.52) p<0.001
・男性
HR=1.52 (95%CI:1.33~1.74) p<0.001
・女性
HR=1.42 (95%CI:1.33~1.51) p<0.001
・75~79歳
HR=1.69 (95%CI:1.49~1.92) p<0.001
・80~84歳
HR=1.49 (95%CI:1.35~1.66) p<0.001
・85歳以上
HR=1.32 (95%CI:1.22~1.43) p<0.001
感想
PPI服用で認知症が増えるという結果である。交絡因子の調整が十分行われているか疑問。年齢が若いほど、影響は大きいという傾向が見られる。
一方で、PPIは認知機能に影響を与えないという以下のような報告もある。
参考文献:Proton Pump Inhibitor Use and Dementia Risk: Prospective Population-Based Study.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29134629
PMID:29134629
コホート研究であり、今回の研究だけで、PPIと認知症に関連があるとは言い切れないと思う。関連論文は他にもありそうなので、探して読んでみようと思う。
動物実験レベルだが、PPIで脳内βアミロイドタンパクが増えると言われているのは初めて知った(PPIswere observedto enhanceβ-amyloid (Aβ) levels in the brains of mice by affecting the enzymes β- and γ-secretase)。あくまでマウスのお話ではあるが・・・。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。