インスリン デテミルやインスリン グラルギンはNPH製剤に比べ総死亡は少ないですか?

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あっという間に11月に入り、今年も残る所2か月を切ってしまいましたね。

最近は疲れ気味なのと、朝も寒いので、なかなか布団から出られない毎日を送っています(´-ω-`)

 

 さて、今回は基礎インスリンどうしの死亡を比較した論文です。

 

参考文献 All-Cause and Cause-Specific Mortality among Users of Basal Insulins NPH, Detemir, and Glargine.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27031113

 

PMID:27031113

 

研究デザインコホート研究

 

論文のPECO

P:40歳以上の2型糖尿病患者23751名

E:①インスリン デテミル ②インスリン グラルギン

C:NPH製剤

O:総死亡、原因別死亡

 

 

研究対象集団の代表性

フィンランドの一般人口を対象にしており、大きな問題無いと思われる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→傾向スコアマッチが行われている

※年齢、性別、過去の基礎インスリンでないインスリン製剤使用の有無、過去のSU薬使用の有無、過去の重篤な低血糖による入院の有無、index date

 

追跡期間

→中央値1.7年

 

結果

【ベースライン】

平均年齢 65.5歳

 

【アウトカム】

総死亡

デテミル vs NPH  調整HR=0.39(95%CI:0.30~0.50) p<0.001

 

グラルギン vs HPH  調整HR=0.55(95%CI:0.44~0.69)  p<0.001

 

デテミル vs グラルギン  HR=0.71(95%CI:0.54~0.93)  

 

心血管死亡

デテミル vs NPH  調整HR=0.42(95%CI:0.28~0.61) p<0.001

 

グラルギン vs HPH  調整HR=0.65(95%CI:0.47~0.91)  p=0.012

 

デテミル vs グラルギン  HR=0.64(95%CI:0.43~0.95) 

 

癌による死亡

デテミル vs NPH  調整HR=0.23(95%CI:0.14~0.40) p<0.001

 

グラルギン vs HPH  調整HR=0.35(95%CI:0.22~0.54)  p<0.001

 

デテミル vs グラルギン  HR=0.67(95%CI:0.38~1.18) 

 

消化器疾患による死亡

デテミル vs NPH  調整HR=0.45(95%CI:0.19~1.06) p=0.064

 

グラルギン vs HPH  調整HR=0.44(95%CI:0.19~1.00)  p=0.049

 

感想

 HPH製剤を用いた場合と比べ、インスリン デテミル、インスリン グラルギンを用いた場合の方が総死亡、心血管死亡、癌による死亡は少なくなる可能性が示されている。

 また、インスリン グラルギンよりインスリン デテミルの方がリスクは少ない可能性が示されている。

 今回の対象患者の平均年齢は65.5歳と比較的若く、追跡期間も中央値1.7年にも関わらず、このような死亡率に差が出ていることは少々驚きであった。

 あくまでも観察研究なので、結果を鵜呑みには出来ないと思うが、あえて用いるのであればNPH製剤よりは、インスリン デテミルやインスリン グラルギンの方がいいかなという印象。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。