クロピドグレルに併用するPPIは何がいいですか?
ご訪問ありがとうございます。
個人的な事情により、更新期間が少しあいてしまいました、すみません(´・ω・`)
今回は、クロピドグレルに併用するPPIは何がいいのかについてです。
検索してみると、アスピリンとクロピドグレルを併用したDAPT療法に、PPIを併用した論文ばかりヒットしてしまうんですね。
残念ながら、アブストラクトしか読めないですが、なかなかクロピドグレルとPPIを併用した研究が見つからないのでこちらを参考にさせて頂きました。
参考文献 Combination Use of Clopidogrel and Proton Pump Inhibitors Increases Major Adverse Cardiovascular Events in Patients With Coronary Artery Disease: A Meta-Analysis.
リンク http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27512080
PMID:27512080
研究デザイン:メタ分析
論文のPECO
P: 冠動脈疾患患者
E:クロピドグレルにPPIを併用
C:クロピドグレル単独
O:主要有害心イベント
一次アウトカムは明確か?
明確
真のアウトカムか?
真のアウトカム
4つのバイアス
1、評価者バイアス
アブストに記載なし
評価者バイアス不明
2、出版バイアス
情報元:MEDLINE、EMBASE、コクランライブラリー
主要なデータベースは網羅しているようだが、アブストにはそれ以上の情報の記載なし
3、元論文バイアス
アブストに記載なし
元論文バイアス不明
4、異質性バイアス
アブストに記載なし
結果
主要心有害イベント
・PPI併用vsクロピドグレル単独 OR=1.42 (95%CI:1.30~1.55)
・オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾールでは、PPI全体と同程度のOR
・ラベプラゾール併用vsクロピドグレル単独 OR=1.03 (95%CI:0.55~1.95)
・CYP2C19高活性患者 PPI併用vsクロピドグレル単独 OR=1.42 (95%CI:1.12~1.81)
・CYP2C19活性低下患者 PPI併用vsクロピドグレル単独 OR=1.43 (95%CI:0.89~2.28)
感想
全文が読めないためあまり詳しい吟味ができない。しかし、DAPTではなく抗血小板薬としてクロピドグレルのみ服用する患者に、PPIを併用した文献があまりないので参考にした。
クロピドグレルの代謝活性化にはCYP2C19が大きく関与する。また、日本人はCYP2C19遺伝子欠損者の割合が大きいので、そもそもクロピドグレルの効果の個人差も大きいと言われている。このような点から、CYP2C19の影響が大きいオメプラゾールやランソプラゾールよりは、CYP2C19の影響が少ないと言われているラベプラゾールの方が、クロピドグレルの作用を低下させにくいのかなという印象。
この差が臨床上どの程度の差なのかという部分もあるが、理論上もCYP2C19阻害作用があると言われているオメプラゾールやランソプラゾールをあえて併用するのは控えるべきなのかなと感じた。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。