アトピーの乳幼児にプランルカストを服用させると喘鳴は減らせますか?
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今回は、アトピーの乳幼児に対するプランルカストの投与についてです。
参考文献 Intermittent and episode-driven use of pranlukast to reduce the frequency of wheezing in atopic children: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25866598
PMID:25866598
研究デザイン:二重盲検、プラセボ比較、ランダム化比較試験
ランダム化されているか?
→されている
論文のPECO
P:事前に2回の喘鳴エピソードがあり、アレルゲン特有のIgE抗体ポジティブの1~2歳の乳幼児
E:風邪症状時にプランルカスト服用→37名
C:プラセボ服用→40名
O:(Primary) 3カ月連続で月1回以上の喘鳴エピソード
(Secondary)重度、中程度、軽度喘鳴エピソードの頻度、喘鳴・呼吸困難・重度の咳、軽度の咳のある週、レスキュー薬の使用
※除外基準
3回以上の喘鳴エピソード、事前に6か月以上プランルカスト服用歴のある患者、6か月以上抗ヒスタミン薬服用歴のある患者、
※風邪・・・鼻漏、咳、喘鳴
サンプルサイズ
200名(パワー80%、α=5%)
一次アウトカムは明確か?
→明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→されている
ITT解析を行われているか?
→ITT解析されている
脱落率は結果を覆すほどあるか?
追跡率=92.2%
結果
Primary outcome
3カ月連続で月1回以上の喘鳴エピソード
E群:10/36(28%) C群:14/39(36%)
RR=0.77(95%CI:0.39-1.52) p=0.45
Secondary outcome
重度発作
E群:2/34(6%) C群:2/38(5%)
RR=1.12(95%CI:0.17-7.51) p=0.91
中程度発作
E群:1/34(3%) C群:4/38(11%)
RR=0.28(95%CI:0.03-2.38) p=0.21
軽度発作
E群:8/34(24%) C群:9/38(24%)
RR=0.99(95%CI:0.43-2.28) p=0.82
☆レスキュー薬の使用
即効性吸入βアゴニスト
E群:12/36(33%) C群:16/39(41%)
RR=0.81(95%CI:0.45-1.47) p=0.49
全身性グルココルチコイド
E群:3/36(0.8%) C群:1/39(0.3%)
RR=3.25(95%CI:0.35-29.8) p=0.27
吸入グルココルチコイド
E群:1/36(0.3%) C群:1/39(0.3%)
RR=1.08(95%CI:0.07-16.7) p=0.95
感想
喘鳴発生頻度は、プランルカスト服用群とプラセボ服用群で差はないという結果であった。本研究で、まず注意したいのがサンプル数の少なさである。事前に設定されたサンプルサイズは200名だったが、結局集められたのは1/3程度の77名であった。研究対象が乳幼児であり、親からすると研究に参加させたくないという事も大いに考えられるので、ある程度仕方ないのかもしれないが・・・。このため、差があるのに差が無いとしてしまうβエラーの可能性も考えられる。
まず、喘鳴って真のアウトカムなのかというところもあるが、親にとっては心配になるのかもしれない。
この論文のみの結果では何とも結論付け難いので、他にも論文を読んでみなければならない。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。