前立腺選択的αブロッカーで転倒や骨折は増えますか?
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今回は、タムスロシンなどの前立腺肥大症で用いる、前立腺選択的αブロッカーで転倒・骨折は増えるか検討したコホート研究です。
参考文献 The risk of fall and fracture with the initiation of a prostate-selective α antagonist: a population based cohort study
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26502947
PMID:26502947
研究デザイン:一般集団対象コホート研究
論文のPECO
P:66歳以上の男性147084名
E:前立腺特異的αアンタゴニスト服用あり
C:前立腺特異的αアンタゴニスト服用無し
O:(Primary)90日以内の転倒、骨折
(Secondary)主要な骨粗鬆症性骨折、大腿骨頸部骨折、低血圧、頭部外傷
※前立腺特異的αアンタゴニスト:タムスロシン、アルフゾシン、シロドシン
研究対象集団の代表性
→問題無し
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?
→傾向スコアマッチングされている
交絡因子:併存疾患、併用薬、受診状況など(eTable3より)
追跡期間
→90日
結果
(Primary outcome)
転倒
E群(2129/147084:1.45%) vs C群(1881/147084:1.28%)
OR=1.14(95%CI:1.07-1.21) NNH=594
骨折
E群(699/147084:0.48%) vs C群(605/147084:0.41%)
OR=1.16(95%CI:1.04-1.29) NNH=1565
(Secondary outcome)
主要骨粗鬆症性骨折
E群(312/147084:0.21%) vs C群(298/147084:0.20%)
OR=1.05(95%CI:0.89-1.23)
大腿骨頸部骨折
E群(159/147084:0.11%) vs C群(163/147084:0.11%)
OR=0.98(95%CI:0.78-1.21)
低血圧
E群(706/147084:0.48%) vs C群(349/147084:0.27%)
OR=1.80(95%CI:1.59-2.03)
頭部外傷
E群(888/147084:0.60%) vs C群(773/147084:0.53%)
OR=1.15(95%CI:1.04-1.27)
感想
アルフゾシンは聞いたことないが、今回の対象となる前立腺選択的αブロッカーの内訳として84%はタムスロシンだったようである。前立腺選択的αブロッカー服用で、転倒、骨折ともにやや多くなる傾向にあるようである。発生の絶対リスクとしては大きくないのかもしれないが、高齢者にとっても骨折は予後に大きく影響するため軽視できない結果。
あくまでサブグループ解析の結果からではあるが、シロドシンの方がタムスロシンより転倒リスクは増える傾向にあるかもしれない。
低血圧に関しても前立腺選択的αブロッカー使用で増える傾向にあるようである。初回投薬時などやはりふらつきなどの対処法を指導する必要性を感じた。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。