重篤な喘息患者に対するフルチカゾン+サルメテロール vs フルチカゾン単独

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今回は、コントロール不良な気管支喘息患者に対する、フルチカゾン+サルメテロール vs フルチカゾン単独の比較をしたRCTを読んでみようと思います。

 

参考文献 Serious Asthma Events with Fluticasone plus Salmeterol versus Fluticasone Alone.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26949137

 

PMID:26949137

 

研究デザイン:ランダム化比較試験(非劣性試験) 非劣性マージン:2.0

 

論文のPECO

P:1年以内に重篤な症状悪化を経験した、12歳以上の持続的な喘息患者

E:フルチカゾンプロピオン酸(100㎍、250㎍、500㎍)+サルメテロール(50㎍)1日2回吸入

C:フルチカゾンプロピオン酸(100㎍、250㎍、500㎍)1日2回吸入

O:(Primary) 【安全性】重篤な喘息関連イベント(死亡、気管内挿管、入院)

       【有効性】最初の喘息症状の悪化

 

※除外基準

生命を脅かすような喘息経験者、年間10箱以上の喫煙者、不安定な喘息患者

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

FAS解析

 

サンプルサイズ

→11664名(パワー90%、片側α=0.025)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率=99.3%(lost to follow-upはE群48名、C群37名)

 

追跡期間

→26週間

 

結果

【ベースライン】

平均年齢:E群:43.4±17.45歳 C群:43.4±17.28歳

 

【アウトカム】

重篤な喘息関連イベント(死亡、気管内挿管、入院)

E群:36件(34/5834名) vs C群:38件(33/5845名)

HR=1.03(95%CI:0.64~1.66) p=0.003 非劣性が成立

 

・最初の喘息症状の悪化

(全体)

E群:480/5834件(8%)vs C群:597/5845件(10%)

HR=0.79(95%CI:0.70~0.89) p<0.001

 

(過去のグルココルチコイド吸入またはnon-LABA療法でコントロール不良患者)

E群:91/1405件(6%)vs C群:106/1398件(8%)

HR=0.83(95%CI:0.63~1.10) p=0.20

 

(過去のグルココルチコイド+LABA吸入療法でコントロール不良患者)

E群:102/1016件(10%)vs C群:124/1040件(12%)

HR=0.84(95%CI:0.65~1.09) p=0.19

 

(過去のグルココルチコイド+LABA吸入療法でコントロール良好患者)

E群:239/2652件(9%)vs C群:304/2663件(11%)

HR=0.76(95%CI:0.65~0.91) p=0.002

 

(過去のグルココルチコイド吸入療法でコントロール良好患者)

E群:38/612件(6%)vs C群:54/608件(9%)

HR=0.68(95%CI:0.45~1.03) p=0.07

 

 

感想

 安全性のアウトカムは、グルココルチコイド単独群に対して、グルココルチコイドにサルメテロールを上乗せした群の非劣性が示されている。安全性に関しては、むしろ心血管イベントについてどうなのかという所を知りたい。

   有効性のアウトカムは、HR=0.79(95%CI:0.70~0.89) p<0.001と、サルメテロールを上乗せした方が有意に少ないという結果になっている。

 サブ解析を見ると、すでにグルココルチコイド単独または、グルココルチコイド+LABAでコントロール不良な患者では、喘息症状の悪化にE群とC群間で有意差もない。

 グルココルチコイド単独でコントロール良好な患者であれば、わざわざサルメテロールを上乗せする必要は無いように思われる。

 一方、グルココルチコイド+LABAで安定している患者では、ステロイド単独に安易に変えない方がいいのかな?とも感じた。この辺りは関連論文を見つけて読んでみようと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。