COPD患者はチオトロピウム吸入で症状の悪化を防げますか?
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今回は、チオトロピウム吸入使用により、COPDの症状悪化が防げるかを取り扱ったメタ分析の論文です。
参考文献 Tiotropium versus placebo for chronic obstructive pulmonary disease.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25046211
PMID:25046211
研究デザイン:メタ分析
論文のPECO
P:COPD患者
E:チオトロピウム吸入(剤形は問わず)
C:プラセボ吸入
O:(Primary)
①QOL(SGRQ、CRQ)
②経口ステロイドや抗生剤を要するCOPD症状の悪化
③総死亡
④入院
(Secondary)
①FEV1
②重篤な有害事象
③治療からの脱落
一次アウトカムは明確か?
→アウトカムは複数存在するため不明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
評価者バイアスはさほど問題なさそう
2、出版バイアス
・情報元:CAGR(CENTRALを含む)、MEDLINE、EMBASE、AMED、PsycINFO、呼吸器の雑誌や抄録に関しても手検索している
・フォレストプロットも、まずまず左右対称
出版バイアスはさほど問題なさそう
3、元論文バイアス
→fig1を見る限り、ほとんどの論文がLow riskの項目が多くそこまで質の悪い論文は含まれていなさそう
元論文バイアスもさほど問題なさそう
4、異質性バイアス
→症状悪化に関しては、異質性が大きい
結果
QOL(SGRQ):数字が大きいほど障害が大きい。臨床的に意味のある差は「4」とされている。
E群 vs C群の差は-2.89ポイント(95%CI:-3.35~-2.44) I2=0% P<0.00001
で、チオトロピウム群のほうが改善は大きい
症状の悪化
OR=1.27 (95%CI:0.70~0.87) I2=51% P<0.00001
NNT=16名
総死亡
OR=0.98 (95%CI:0.86~1.11) I2=27% P<0.00001
NNT=16名
※総死亡のサブグループ解析
・ドライパウダー吸入
OR=0.92 (95%CI:0.80~1.05) I2=15% P=0.21
・ソフトミスト吸入
OR=1.47 (95%CI:1.04~2.08) I2=0% P=0.03
有害事象
OR=1.03 (95%CI:0.97~1.10)
感想
症状の悪化に関しては、チオトロピウムを使用したほうがやや抑制できるといった結果。ただし、研究にベーリンガーが関与している点ではやや割り引いて考える必要がある。QOLに関しては、統計学的有意差はでているものの、臨床上意味のある差とはならなさそうである。あくまでも、SGRQの差が4以上で臨床上意味のある差と決定しているのも人間なので、どう評価するかというところにはなるが・・・。
症状の悪化に関しては、異質性が大きいがFixed-effect-modeolを用いていいのかは疑問。Random-effect-modelでなくていいのだろうか?(←この辺よくわかっていません・・・)
あくまでサブグループ解析だが、総死亡に関してよく言われているように、チオトロピウムのソフトミスト吸入ではやや増加傾向がある点にも注目しておきたい。
吸入薬に関しては、デバイスの問題もあるため、そもそもこの患者さんは確実に使えそうなのか?というところも、使用するかしないかの大きな判断基準となるのではないだろううか?
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。